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元気です

元気です

大相撲の初場所は、栃東の優勝で幕を閉じた。

朝青龍、琴欧州、と昨年は外国人力士ばかりが目立っただけに、
久しぶりに日本人力士が挽回したのは素直に喜ばしいことである。

とはいうものの、僕はこの大相撲において、そのテレビ中継での
コメントで、いささか気になっていることがあるのだった。

ご存知のとおり、大相撲には「番付」という力関係の序列があり、
横綱は優勝が義務付けられ、大関は優勝争いに加わってナンボだ。

だが、そうでもない力士、つまり番付の低い力士が白星を重ねると、
実況は取組みの後で、こう添えるのだ。



「元気です」



僕は、この「元気です」が、どうもひっかかるのである。

例として、幕内下位(前頭14枚目)の「時津海」を挙げてみよう。

優勝こそ逃したものの、13日目までは優勝争いにも加わり、
最終的に12勝3敗の立派な成績で、みごと技能賞も獲得した。

実況は、そんな時津海の予想外の健闘っぷりに舌を巻くのである。





「時津海、今場所は、元気です」





しかも、時津海は32歳。相撲界ではベテラン力士だ。

この「元気です」には、時津海の番付(ポジション)に加えて、
年齢的な側面も含まれていることは、想像に難くない。


勝ち越したら御の字とちゃうん?なポジションなのに。
そろそろ引退を考える年なんちゃうん?な年齢なのに。

そんな潜在意識から、実況者の脳裏には、

「番付の低さや年齢の高さを考えると、ビックリだよね」

という予想外の驚きが、大いに含まれるのである。

つまり「元気です」という台詞において最も注目すべきは、
いちおう言葉では称えてこそいるものの、その根底に漂う










シニカルな空気










である。

なんとなく、馬鹿にした印象を受けるのは僕だけではないだろう。

さっきの実況を言い換えてみると、よくわかる。










「32歳の大男、意外と仕事が好調で、元気です」










いかがだろうか。

僕が時津海だったら、間違いなく怒る。

いくら仕事が順調で上機嫌だとしても、いい気はしないはずだ。



さらに、別の角度から考えてみることにしよう。

これまでは「元気です」と漢字で表記してきたが、たとえば、
これが平仮名だったら、さらに恐ろしいことになるのである。


宮崎駿監督の映画『魔女の宅急便』のメインコピーはこうだ。





「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。」





糸井重里氏によるこのコピーは、主人公の少女・キキの心象を
そのまま作品全体へ投影させた、すばらしい一文だといえる。

だが、これが時津海の言葉となると、大変なことになるのだった。










「(六日目で春日王に敗れたときは)
 おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。」

 (時津海 談)











なんというかもう、世界観が台無しなのである。


時津海は自ら「げんきです」と言わないにしても、これはひどい。

すぐさまコメントを撤回して、全国ジブリファンへの謝罪行脚だ。



結局のところ、この「げんき」という単語の意味や響きそのものが
大のオトナに対する表現としては不向きなのである。

オトナは、それぞれの立場、さまざまな状況で、いろいろ抱えつつ、
それでも皆が、それなりに一生懸命なのである。

元気があるとかないとか、いちいち言ったり感じたりする暇もなく、
元気があろうがなかろうが、とにかく日々、頑張ってるのである。



そう、「頑張ってる」のだ。


元気か否かは、オトナはどうでもいいのである。

頑張るオトナで、経済が成り立っとるのである。

元気かどうかは、とりあえず二の次なのである。

オトナが頑張るから、世界は回っとるのである。


さっそく、時津海への実況に置き換えてみよう。















「時津海、今場所は、頑張ってます」










なんか、いつもはあんまり頑張ってないみたいで、
これはこれで、やっぱりむかつく。



(了)
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