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バレンタインデー

バレンタインデー

バレンタインデーである。

日本では、女子が意中の男子にチョコレートを渡す日とされる。

三十路を過ぎると、それは単なる習わしぐらいにしか思えてこず、
本気でドキドキできるのは、高校生くらいまでなのでは、と思う。

いや、なにかと低年齢化している現代の傾向からすると、もはや
高校時代は、既にチョコごときでドキドキしない可能性すらある。

むしろ、高校生のドキドキといえば、チョコの受け渡し現場より
妊娠検査薬の結果を待つ現場の方が、数として多いかもしれない。

そう思ってしまうほどに、ジャニーズのヤンキー化が顕著だ。

KAT-TUNは、なんか怖いし。NEWSは、みんな呑むし。

だいたい『修二と彰』とかいう前に、





もともと、君らは、誰と誰だ。





ただのジェネレーションギャップだとしても、そう問いたくなる。

とにかく、田舎の純情高校生だった僕のような人間が、上京して
十数年も東京の高校生を見続けていると、たとえ彼等が日常的に

「まあ、キメるほうのチョコなら、ドキドキするけど」

とジャンキーな会話を交わしていても不思議はない、ということだ。


なんの話だかよく解らないが、僕は現状を憂いていた。


しかし。

先週、朽ち果てた東京の野に咲く、一輪の花を見つけたのである。



仕事の合間に、会社の近所のカフェに入ったときのことだった。

夕方のカフェは、大学が傍にあることもあって、学生が多かった。

サークルらしき集団、就職活動中の学生、勉強している者もいた。

それらの影に隠れるように、奥の席で女性がひとり、佇んでいた。

同じく近所の大学生と思しき女は、うつむき加減の体勢のままで、
最初は居眠りでもしているのだろうかと思ったが、どうやら彼女は
小刻みに同じ動作を繰り返しているようだった。

手先を確認した僕は、ようやく気がついた。





彼女は編み物をしていた。





なんとも微笑ましい姿が、そこにあったのである。

たぶんバレンタインデーに向け急ピッチで作業しているのだろう。

なんだか素敵だな、と思うと同時に、なんだか僕は嬉しくなった。

自分が貰うわけでもないのに、ちょっとドキドキした。

彼女のテーブルを見ると、まだコーヒーに口をつけていなかった。

コーヒーを飲むのも忘れて、都会の片隅で編み物に没頭している。

真剣なまなざしが、端整な顔立ちを、いっそう引き立たせていた。

彼女は、マフラーらしきそれを編みながら、何を思っているのか。

おそらく、来る日に渡す相手のことしか、考えていないのだろう。

周りも、隣に座る僕さえも、見えなくなっているのかもしれない。

その証拠に、彼女は編み方をときどき間違ってやり直していたが、
そのたびに、















「・・・チッ」










と、驚くほど大きな舌打ちをした。















げんなり










正直、可愛い彼女の口元から発せられる獰猛な吐息混じりの音は、
見とれていた僕を、現実の荒んだ世界に引き戻さんばかりだった。

それでも、僕は彼女の手編みの気持ちに惹かれたわけで、多少は
目をつぶって余りある神々しい姿だったことも、また事実である。

というわけで、妙な雑音は聞かなかったことになり、僕の中での
『バレンタインデー前に見たい光景』ベスト1に輝いたのだった。



僕は、バレンタインデーはドキドキする行事であるべきだと思う。

現実としては中学生くらいまでしか体験できないかもしれないが、
女でなく「女子」から、男でなく「男子」への、甘酸っぱい行事。

渡すと同時に告白したい、でもなかなか言えないドキドキ感。

言われる台詞を判ってて、でもただ待つしかないドキドキ感。


どちらも代えがたい貴重な体験で、それはまさに、青春である。


手編みの彼女は、いったい誰に手製のプレゼントを渡すのだろう。

年の頃から察すると、付き合っている恋人のためだと思われるが、
僕としては、まだ恋仲でない、意中の片想いの人であってほしい。

そして「手編み」が告白時の“キラーアイテム”であってほしい。

彼女には、ドキドキ感いっぱいの「青春」をぜひ体験してほしい。


百歩間違っても、ジャニーズ事務所へ送ったりはしないでほしい。

どんなに頑張ってみたところで、所詮はアミーゴどまりである。



(了)
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