Home > スポンサー広告 > 魔法の効力

スポンサーサイト

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


シンプルにしながら参加中。記事を読んでいただいた上にこのボタンを押してもらえたなら二重のヨロコビです。ありがとう。


Home > スポンサー広告 > 魔法の効力

Home > Essay > 魔法の効力

魔法の効力

魔法の効力

最近、仕事で南船橋に行くことが多い。

南船橋とは、千葉県船橋市の南のほう、のことである。


ちなみに、僕が住んでいるのは神奈川県横浜市である。

さらにいうと、勤務している会社は東京都港区にある。

つまり、神奈川~東京~千葉と、一都二県にまたがって
あくせく働いとるのである。

ただでさえ、足どりが重くなってしまうような道程なのに、
この南船橋には、さらに甚だ遺憾な出来事があるのだった。


関東圏以外の方には馴染みがないかもしれないので説明すると
東京から南船橋へは京葉線というJRの路線が走っているのだが
その途中に『舞浜』という駅があり、この舞浜駅というのが、

“夢と魔法の王国”の最寄駅なのである。


要するに、あの『ディズニーリゾート』から一番近い駅。


“夢と魔法の王国”といえば、年末にこのブログで取り上げたが
結局、開園前の話だけして王国内の話をまったく書かずに終えた、
という非常に中途半端で情けない過去があったりもするわけだが
『「夢と魔法の王国」体験記 第1話』 および 『同 第2話』参照)
まあ、それは置いとくとして。


この舞浜駅が、非常にやっかいなのである。



この仕事を終えるのは、たいてい午後10時を回る頃だ。

南船橋駅から東京行きの電車に乗ると、車内は空いていて、
疲れきっている僕は、倒れ掛かるように座席に腰を下ろす。

電車の揺れが心地良く、いつもすぐにウトウトするのだが、
ある駅で信じられない数の客が乗り込んできて目が覚める。



舞浜駅である。



“王国”帰りの客が、群れをなして乗ってくるのである。


皆、大きな土産袋を提げている。


皆、満面の笑みを浮かべている。


皆、妙にハイテンションである。


そして。















皆、変な被り物しとる。















いわゆるオフィシャルグッズを身に着けたままなのである。

どいつもこいつも、平気な顔して変な被り物を装着しとる。

変な耳あて、でかい手、奇妙な装飾、ペインティングまで。

電車内で、ちょっとした仮装パーティーが始まるのだった。

普通に考えて、街で見かけたらちょっとどうかと思うような、
そんな品々である。

子供ならまだしも、大の大人が揃いも揃って何をしとるのだ。

そこで僕は、いたって単純な疑問を抱く。





今後、彼等はどこでそれを使うのか





確かに“王国”を訪問した証、楽しい思い出の証、ではある。

しかし、普段の生活に戻れば、押入れの隅のほうに放置され、
かなり虚しいアイテムとなってしまうのではないだろうか。

となると、すぐにもうひとつの疑問がクローズアップされる。










この後、どの時点で被り物を外すのか










舞浜駅から電車に乗り込むときなら、まだいい。

似たような変な格好をした“同志”が大勢いる。

だが、東京駅に到着した後だとそうもいかない。


日本一の巨大駅では当然、“王国”帰りの人口密度も低くなる。

夢は覚め、魔法は弱まり、その代わりに“日常”が彼等を襲う。

サラリーマン、学生、フリーター、夜の仕事の人々・・・

“王国”帰りの人々は、慌しい東京の日常に呑み込まれる。



彼等は、心の中で葛藤する。



「もうそろそろ、潮時なのではないだろうか?」

「しかし、いま外したらこの次は無いんだぞ?」

「さすがに、このままでは恥ずかしくないか?」

「これは“王国”を訪れたという立派な証さ!」

「だがやはり、これ以上、装着し続けるのは…」

「三木さんとの約束を、破るとでもいうのか?」

「僕はよくやったよ。きっと彼も許してくれる」

「三木さんと交わした握手は偽りだったのか?」

「違う!あれは偽りなんかじゃない。だけど…」

「けど、なんだ?熱い抱擁もしたじゃないか!」

「だって…、いまの僕は、どう見ても浮いて…」

「もういい!君の好きなようにすればいいさ!」

「…ごめん。でも君もそろそろ考えたほうが…」

「僕は被り続ける!寝るときだって外さない!」









まあ、どうでもいい話だ。


僕は彼等が被り物を外す“そのとき”に立会いたいのだ。

彼等がかかっていた魔法が解ける瞬間、我に帰る瞬間の、
なんともいえない表情を、目撃したいだけなのである。


そんなわけで、“王国”帰りの人々の動向を観察することが、
長く憂鬱な帰路における唯一の楽しみになっている。



(了)
スポンサーサイト


シンプルにしながら参加中。記事を読んでいただいた上にこのボタンを押してもらえたなら二重のヨロコビです。ありがとう。


Home > Essay > 魔法の効力

Search
Feeds
Others
あわせて読みたいブログパーツ

Page Top

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。