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オトナの主張

オトナの主張

この国には“オトナ”ならではの行動がある。

オトナが平然とやってのける愚行の数々について、僕はずっと「大のオトナが馬鹿なことを」と醒めた視線を浴びせて「自分はそんなオトナにはなるまい」と強く思っていた。

しかし、実際に自分が社会人になると、それまで嫌悪していた場面に何度も出くわし、当事者になり、ともすると、馴染んでさえいる。

僕は、すっかり多数派の波に飲み込まれているのだった。

たとえば、こんな会話はその典型だ。


「今日は、ボクが払いますね」
「いえいえ、ウチが持ちます」
「何を仰る、ここはワタシが」


宴が終盤に近づくにつれて、テーブルの角に置かれた伝票に皆の視線が集まりはじめる。

表向きは楽しげに会話を交わしても実は上の空で、誰もが“そのとき”に備えて作戦を練り始めるのである。

自ら「お開き」を宣言すると同時に伝票をさりげなく奪う、先手必勝の『不知火』を仕掛けるか。

それとも、誰かが伝票に手をかけた瞬間、そっと自分の手を重ねて奪う『図書館の恋』でいくか。

あるいは、伝票そのものを無視してレジ担当者だけに狙いを定める妙技『カウンター』を使うか。

他にも、割り勘計算をするからと伝票を手にして全額を支払ってしまう『猫だまし』、おちゃらけて伝票を口の中に押し込んで自分の物にする『道化師』、土下座をして涙ぐみながら深い事情があるかのように装う『看板役者』などなど。


とにかく、水面下では丁々発止の駆け引きが繰り広げられるが、ここで気をつけたいのは、この時間帯における体調管理である。

「お開き」の間際にトイレで席を離れれば、それはもう試合放棄に等しい。自分が戻ったときには会計が済まされていた、なんてことにもなりかねないのだ。

おむつを装着してでもこの局面を互角にやり合うと、いよいよ本格的な戦いの火蓋が切って落とされる。


+++



宴の進行を優位に進めてきた者が、ふいに時計をチラッと見る。


それまで和やかだったテーブルの雰囲気が、がらりと変わった。


出るのか。出すのか。


「そろそろ、出ましょうか」


出た。


『不知火』だ!


一斉に緊張が走る。


だが『図書館の恋』で反撃する奴はいない。


ここまでは、比較的オーソドックスな展開。


ふう。


問題はここからだ。


伝票の行方を気にしつつ、一同は帰り支度を整える。


最終決戦の地はレジ前になるだろう。


と、ここで異変に気づく。


そういえば、奴の姿が見えない。


予想通り、足早にテーブルを後にした奴が既にレジ前にいる。


ちっ。


『カウンター』!


まずいな。


隣では、べろべろに酔っていたはずの奴が真顔で目薬をさしている。


もしや『看板役者』?


なんてこった。


『不知火』に加えて『カウンター』に『看板役者』まで。


今日の相手は相当手強いぞ。


やっかいな夜になりそうだ。



+++


とまあ、くだらない心理戦の末に、いい歳したオトナ達が公衆の面前でじゃれ合うのである。半分笑いながら、半分は真面目な顔つきをして。堂々巡りの押し問答。ループ&ループ。


僕は、そんな日本のサラリーマン社会に溶け込みたくなかった。

少数派の精神を持っていながら、不毛な争いなのだと解っていながら、多数派の一員として毎回その輪に加わっている自分に腹が立つ。

なんとかならないものかと考えても、残念ながら僕にはそれを解決するための建設的な提案なんか、ひとつもない。


いまはただ、スクラップ&スクラップ。


すべてをぶち壊すことだ。我々少数派に残された選択肢はただひとつ。日本社会の悪しき風習は、もう滅ぼすことだ。


ぶっちゃけて言えば、もはや個別会計しかない。


会計バトルが勃発したとき、いつもそんな感じで斜に構えた態度で参戦するので、僕はこれまで一度も勝ったためしがない。

他の奴らに比べて押しが弱く、「絶対に自分が払う」という意気込みが足りないのだから当たり前だ。


最後に一応言っておく。


そんな僕が勝利したら、奴らはビビる。


僕もビビる。





追伸:
今回の記事の最後のほうは、東京都知事選のある立候補者の政見放送にインスパイアされて書いたものである。じゃあ、どうしてインスパイアされたのか。その話は長くなるから、こちらを見てくれ。随分いろいろなヴァージョンがあるようだから、どれも見逃さないように。



(了)


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