Home > スポンサー広告 > しりとり

スポンサーサイト

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


シンプルにしながら参加中。記事を読んでいただいた上にこのボタンを押してもらえたなら二重のヨロコビです。ありがとう。


Home > スポンサー広告 > しりとり

Home > Essay > しりとり

しりとり

しりとり

電車の向かいの席に、若い母子が座っていた。

子供は、5歳になる僕の息子と同じくらいかな?という感じの女の子。平日で学校をやっている時間帯だったので小学生未満だろう。一方のママのほうはまだ二十代だと思われ、5~6歳児の親としてはかなり若い印象。正直それほど美人ではないけれど雰囲気があるタイプで、特にファッションセンスは抜群に良かった。子供にもお洒落な服着せてたし。

二人は手をつなぎ、互いに顔を見合わせ、にこやかに笑みを浮かべていた。女の子はママに向かって一生懸命話しかけ、ママはいちいち反応して微笑む。なんとも幸せな光景だなあと思いながら、僕も微笑ましい気持ちでそれを見ていた。

しばらくすると大きな駅に着いて乗車客数が一気に減り、さっきよりも母子の会話がはっきり聞こえるようになった。どうやら二人はしりとりをしていたらしい。女の子が小首をかしげて考える仕草をしながら言葉を探している。


「えーと『し』でしょ?し、し、し・・・」

「何があるかなー?いろいろあるわよぉー」

(そうそう、シマウマとか、消防車とか、シュークリームとか・・・)


「えーとねー、んーとねー、し、し、し・・・あ!」

「なあに?わかった?」



「しにがみ!」



Wow!

よりによって「死神」て。ほかにもあるだろ。ママ、ここはちょっと愛娘にビシッと言っておやりなさい。「ほかにも『し』のつく言葉なんていっぱいあるでしょ!このフランス人形が!」とかなんとか。

せっかく、愛嬌ある顔で可愛らしい服も着せてるんだからもっとこう、子供っぽくて優しいワードを教えてあげ…



「じゃあ、ミンチ!」



ママ・・・

まさかのチョイスに面食らったのも束の間。


「えー、じゃあ、次は『ち』のつく言葉?」

「そうよぉ、『ち』もいろいろあるわよー」

(そうそう、チョコレートとか、ちょうちょとか、地球とか・・・)



「チェーンソー!」



Wowow!!

チチチチチェーンソーて。ほかにもあるだろ。つーかチェーンソーはないだろ。ママ!ねえ、ママ!!あんた子供に何教えてんの?「しりとりは子供の語彙力を写す三面鏡よ!将来、絶対泣くわよ!」おすぎです!

ともかく、親子モデルにもなれそうなルックスなんだからもっとこう、歳相応のメルヘンなワードを教えてあげ・・・



ソウ(SAW)!」



マ・・・ママァ・・・・・・

よもやのホラーしばりで言葉を失う僕を尻目に。


「あー!『ソウ(SAW)』観たい!また観たいー!」

「えー、この前も観たばっかりでしょう?」


「ちがうー、新しいやつが観たいぃー!」

「でも●●ちゃんは小さいから映画館では観られないのよ」


「えー、じゃあ、またDVDで、観るぅー!」

「うんうん、そうしようねー」


手打ちが済んだところで電車は駅に到着し、母子は笑顔で下車していった。

二人ともさっきまでと同じ笑顔だったが、僕はすっかり恐怖を感じていた。爽やかな笑顔だったぶんだけ余計に気味悪くて背筋が寒くなった。この秋一番のホラーだった。

僕は気晴らしに、彼女達が残した言葉でしりとりを続けた。


(ソウ、ソウ、ソウ、ソウ・・・そう、妄想も嘘。)


寒気が増した。



(了)


スポンサーサイト


シンプルにしながら参加中。記事を読んでいただいた上にこのボタンを押してもらえたなら二重のヨロコビです。ありがとう。


Home > Essay > しりとり

Search
Feeds
Others
あわせて読みたいブログパーツ

Page Top

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。