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もどかしい

もどかしい

人の間違いを訂正するのはなかなか難しい。親しい関係なら笑って指摘することもできるが、それほど親しくなければ黙ってスルーしてやり過ごすことも多い。それが電車で居合わせただけの赤の他人なら、なおさらだろう。

先日、終電間際の電車に乗ったときのこと。向かいのシートに座った男女が肩を寄り添って話をしていた。二人ともかなり酔って赤い顔をしている。男が女に言った。

「知り合いに浦和レッズのサポーターがいてさあ」

サッカーの話らしい。ほほう。サッカー好きの僕はそれとなく聞き耳をたてた。どうやら男の知り合いがレッズの熱狂的なサポーターで着てる服がいつもチームカラーの赤色なので笑える、という話だった。女は大笑いしてたが、べつに面白くなかった。笑いどころは一切なかった。くだらない。だが次の瞬間、僕は男の発言に耳を疑った。

「けど浦和レッズのせいで『大宮トルティーヤ』は肩身狭いよな」

これは聞き捨てならない。なにしろ『トルティーヤ』はメキシコの伝統的な薄焼きパンだ。いきなり話題が大宮のメキシコ料理屋の話に飛んだのか。否。常識的に考えれば『大宮アルディージャ』の間違いだろう。同じ埼玉を本拠地に置くレッズの陰に隠れているが、れっきとしたJ1リーグのプロサッカーチーム。

最初は冗談で言っているのかと思った。しかし、男はその後もずっと『大宮トルティーヤ』と言い続けた。本気だった。女も女ですぐに訂正するかと思いきや真面目に聞いてた。真剣だった。二人ともサッカーにもメキシコにも疎かった。あーあ。

それにつけても『大宮トルティーヤ』だ。最初は驚いたが、じわじわ押し寄せる笑いを堪えるのは大変だった。でもさすがに何度も繰り返し間違われると、それほど面白くなくなってきた。しかもあろうことか男は知ったかぶって自前のサッカー論を展開しだした。トルティーヤのくせに。ああ腹立たしい。そして、もどかしい。

「トルティーヤじゃなくて、アルディージャですよ」

さらっと訂正したい。間違いを指摘したい。なんなら「それは、アルディージャじゃ」とか韻を踏んでもいい。言いたい!言いたい!言いたい!王様の耳はロバの耳!いま面と向かって言ったら二人はどんな顔するだろう。酔って赤い顔がさらに赤くなるだろうか。埼玉スタジアムのように真っ赤に染まるだろうか。地球のみんな、オラに勇気をわけてくれ。

でも結局言えなかった。指摘できないまま降りる駅に着いてしまった。僕は見ず知らずの人間の会話に割り込んで指摘できるほど神経が図太くなかった。それにしてもなんだか疲れた。精神的にものすごく。間違いなく彼らのせいだ。そもそも公衆の面前で堂々と面白く言い間違えるのは罪だ。モドハラ。もどかしハラスメント罪で訴えたい。

そんなことを思いながらホームを歩いていると、同じ車両を降りた二人の若い男が、まさにそのことを話題にしていた。

「聞いた?さっき斜め前にいたおっさんの」

「『大宮トルティーヤ』だろ?」

おお同志よ。二人の興奮ぶりは明らかに“電車では言いたくても言えなかったんだよ”的な感じだった。ねえ君たち、僕と一緒に被害者の会を結成しないか。

「ほんと、まじで超うけるよなwww」

「俺、吹き出しそうだったもんwww」

「俺も我慢するの必死だったってwww」

「つーか、アレはありえないだろwww」

「『大宮トルティーヤ』ってwww」

「メキシコ料理じゃねえっつーの!」

「『大宮アルジャジーラ』だっつーの!」

うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!

アルジャジーラ』は中東の衛星テレビ局だ、どあほう。



(了)


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