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ついに、たんたん

ついに、たんたん

<これまでのあらすじ>

面倒くさいので、割愛。

それでも、読んでくださる方がいらっしゃれば、面倒くさがらずコレコレを読まれたい。


+++


その日、読んでいたのは、スポーツ誌『Number』。

特集:『日本野球の25人 ベストゲームを語る。』
626[1].jpg


この特集記事は、イチローをはじめ、長嶋茂雄、松井、清原、松坂・・・
まさに『Number』ならではのラインナップで、読み応えもあり、
続きを読むのを楽しみにしていた。


しかしながら、たんたんメンである。


活字を追うものの、今日ばかりはそっちが気になって仕方ない。
もう一度、ゆっくり店内を見渡してみる。


皆、たんたんメンを注文してるようで、ラーメンの器が卓上に並んでいた。

ヤンママは携帯電話でなにやらメールをしながら、
お揃いのグレーTシャツを着た子供達に、
麺が伸びるから、と早く食べるように、せっついていた。

サラリーマン達は、愚痴話でもしているのだろう、
小声でなにやら話しながら、ときおり流れる汗を拭きつつ、
やはり、たんたんメンを食していた。

座敷の肉体労働者のテーブルには、レバ刺やユッケが運ばれていたが、
それはそれで、むしろ
「たんたんメンは、〆に取っておくのが通ってもんだろうが」
といった感じの、行きつけならではの雰囲気さえ漂っていた。
行きつけかどうか知らないが。


そんな訳で、たんたんメンへの期待値は高まる一方だった。


しかしながら、いかんせん料理が出てくるのが遅いのである。

いっこうに、『マイたんたんメン』が調理されている気配がない。

そこで、僕はタバコに火を点け、雑誌に視線を向けた。
江川のページだった。
なるほど、ウイニングボールにまつわるエピソードが、なんとも江川っぽい。

そんなことを思いながら読んでいると、
なにやらひそひそ話していた隣のヤンママ母子が急に席を立ち、
座敷の肉体労働者のテーブルのほうへ向かっていったのである。


あ。

もしかして、タバコの煙が原因?

そういや、子供たちはまだ食べてたな。
僕は、テーブル席に移動した母子の背中に、心の中で「ごめんね」と謝罪した。

いったんタバコの火を消して、再び雑誌に目を戻していると、
後ろの座敷テーブルから、母子の声が聞こえてきた。



母「ほら、ありがとうございます、は?」

子「ありがとうございます」

肉「えーよ、えーよ」






ん?





肉「えーよ、えーよ」

これ、なに?





振り向くと、僕の隣の席に戻ってきた子供たちが、
手に大事そうに何かを抱えていた。

ヤンママも照れ笑いを浮かべて肉体労働者達におじぎをすると、
そそくさと席に戻ってきた。




手に持っていたのは、色紙だった。




面食らった僕は思わず、色紙を二度見し、
同じように肉体労働者達を二度、チラ見した。


母子が嬉しそうに眺めている色紙を横から盗み見ると、
解読不明のサインと、背番号らしき数字が二つずつ、書かれていた。


その中で、なんとなく読めた文字があった。




T・・・i・・・g・・・e・・r・・s・・




Tigers=タイガース=阪神タイガース!?




その後もとりあえず、子供が持つサイン色紙と肉体労働者、
もとい阪神タイガースの選手を幾度となく見比べた。

筆跡で顔が判るほど野球通ではないにも関わらず、
とりあえず見比べていた。



その直後。


ふと、メールしていたヤンママの携帯電話を見たとき、
僕は『シックスセンス』の主人公よろしく、一瞬で全てを悟ったのだった。



あっ!
そういえば、その携帯電話、阪神タイガース限定フォン!

あっ!
アディダスジャージだと思ってたのは、タイガースのビジター用ユニフォーム!

あっ!
プロ野球カレンダーが貼ってあったけど、よく見たら、反対の壁も!入口裏も!
なんか店ん中、野球カレンダーだらけ!もちろん阪神のも(井川)!

あっ!
サラリーマンが小声で話していたのは、会社の愚痴話じゃなくて、
「あれタイガースの選手じゃないか?」「絶対そうだよ~」話!

あっ!
ここは横浜。そういや今日は、横浜vs阪神@横浜スタジアムだったかも!
時間的にも23時前だから、試合終えてシャワー浴びたらちょうどのはず!


突然訪れた『ユージュアルサスペクツ』のラストのような展開に驚き慄いていると、
とどめの一撃とばかりに、店の入口から更にガタイのいい男達が・・・


あっ!
アレ、安藤だっ(たぶん)。この選手は知ってる(おそらく)!
とにかく、なんか知らんうちに、あっという間にタイガースだらけっ!




そして、次の瞬間。

僕は、自分が『Number』を読んでいたのを思いだし、慌てふためいた。



僕の手元には、在りし日の江川の雄姿がっ!

よりによって、江川卓とはっ!!

つか、巨人ファン丸出しじゃんっ!!!

これじゃ、タイガースの選手に申し訳が立たんっ!!!!

早く、早くタイガースのページを、タイガースの選手のページをっ!!!!!


たぶん、掛布か誰かが特集の25人に入っていたと思うんだけ・・・






そのときだった。






僕は、慌ててページをめくった拍子に、
グラスの水をひっくり返してしまった。





・・・。





僕は、「すいません」と云いながら、カウンターテーブルを拭いた。



タイガースの選手と、トラキチの母子、野球通のサラリーマン達、
そして、プロ選手も贔屓にするほど味の確かな名店の店員に囲まれて。



僕は、ただひたすら、テーブルを拭いた。



まるで、


甲子園で敗れて土を集める高校球児のように





















<エピローグ>

たんたんメンは、美味しかった。

・・・と思う。たぶん。

やっぱ、なんつうか、その、あんまり覚えてないんで。
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