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老婆は小刻みにビートを刻む

老婆は小刻みにビートを刻む


日曜の夜、家族で夕飯を外で食べることにしたのだった。

近所に行列ができる店として評判の中華料理屋があり、
そこへ向かったところ定休日で、それなら『たんたん』
と思いきや、こちらも残念ながら定休日。

仕方なく、家路に戻る途中、ある店の前で足が止まった。

老舗なのか、落ちぶれているのか判らない、
そんな佇まいの中華料理店。

店頭に掲げられた暖簾は、本格的な印象を受けるが、
どこか薄汚れた定食屋のようにも見える。

立掛けられたメニュー看板には定番メニューが並び、
手書きの独特の文字が、これまた、隠れた名店とも
寂れた店の成れの果てとも解釈できる。

家族の表情を伺うと、一家の主である僕に命運を任せた、
そんな面持ちだった。


DEAD OR ALIVE


僕は決断し、そっと引き戸を引くと、
みすぼらしい店内の様子が目の前に広がった。
同時に、カウンター席に座る人影が見えた。



老婆がひとりでなんか食ってた。



客かとも思ったが、彼女が手に持っていたのは皿ではなく、






業務用タッパー。





「老婆=客」の線・・・ハイ、消えた。

しかも老婆は、タッパーの中の何かを、あろうことか、

手づかみで食べていたのだった。


予想だにしない異様な光景が突然飛び込んできて、
僕は、金縛りに遭ったように動けなくなってしまった。

すると、入口で立ち尽くす僕らの存在に気付いた老婆が、
ゆっくり振り向いて、そして、ゆっくり云った。




「・・・まあ! いらっしゃい」



「まあ!」って。










その感嘆詞は、なんだ。








いったい、どう反応すればよいのだ。

久しぶりに田舎に帰省した孫のようにでも振舞うべきなのか。
鳩サブレーかなにか土産でも持って来なきゃいけなかったか。

客として店に入って、いきなり驚かれてしまった経験など、
あるはずもなかった。

やはり、失敗か。
僕の選択は、間違いだったのか。
我々は、パンドラの箱を開けてしまったのか。

否。

ゲームは始まったばかりだ。

こんな店だからこそ、とんでもなく美味い料理に
ありつけるかもしれないじゃないか。

僕は、入口に立ち尽くしたまま、
猛烈な勢いで押し寄せてくる不吉な予感を
必死に振り払おうとしていたのだった。

(つづく)
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