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老婆は小刻みにビートを刻む 3

老婆は小刻みにビートを刻む 3

(前回までのあらすじ)

初めて入った中華料理屋に、老婆と初老のおばちゃんが居た、という話。

※詳しくはコチラ(1)と、コチラ(2)

+++


老婆、否、大女将は、小刻みにその手を震わせながら、
ひとつひとつ確かめるように僕らのテーブルにグラスを置いた。


「僕、コレ僕だけ特別よ~」


大女将が息子の前に置いたグラスには
『ドラえもん』の絵柄がプリントされていた。
ちなみに、僕と奥さんには、キリンレモンのロゴの、
良く言えば懐かしい、悪く言えばまだ存在してたのか、というグラス。

幼子を想う優しさと気配りに、本来なら感謝すべきところなのだが、
当の息子は、人見知りしているのか、僕にしがみついてきた。
奥さんが、場を取り繕おうと「まあ、良かったねえ」と話しかけても
緊張はいっこうにほぐれない。

大女将は、そんな息子の警戒心には気づかない様子で、
ドラえもんを指しながら、積極的にコミュニケーションを図ろうとする。
息子は僕の腕にしがみついたまま、細かく震える。むしろ、震えが増した。

息子の幼さゆえの震えは、大女将の老いから刻まれるビートに、
まるでシンクロしているようだった。

僕は、息子の視線の先を辿ると、この震えの原因が
大女将の手にあるのではないかと気づいた。


老人独特の、
筋張って骨と血管が異常に浮き出た手


確かにまじまじと見つめてみると、子供にとってホラーである。

加えて、圧迫型のコミュニケーションが、切れ目なく息子を襲った。

「これ、なあに?」
「これ、なあに?」
「これ、なにかな?」
「あれ、知らないのかな?」


畳み掛ける大女将の責め、いや、スキンシップの末に、


「ど、ドラえもん・・・」


消え入りそうな声で、息子はようやく答えたのだった。

僕らは、緊張の初接触を終えると、メニュー表に目を通し、
極力、無難な注文をすることにした。


タンメン、チャーハン、ギョーザ。


来店して僅かな時間しか経っていなかったが、僕らの期待値は、
このとき既に、大幅な下方修正がなされていた。

しかし一方では、もしかしたら注文さえすれば、
店の奥から思い描いた大将が出てくるのでは、
と一縷の望みを抱いてもいたのだった。



「はいよー」



威勢の良い返事とともに準備に取り掛かったのは、





天然パーマにグリグリ眼鏡の、

さっきのおばちゃん






やはり、貴女が調理するのですか。

こうなれば、悪あがきしても仕方ない。
不味くなければ良し、とするしかないだろう。

そんな諦めの空気が流れはじめたなかで、ふと壁に目を移したとき、
僕は、信じられないものを見つけてしまったのだった。







menu.jpg






menu.jpg








いったい、どんな味だ。







ある意味、注文しなかったことが悔やまれたが、一方で
不安感が激増したことも、疑いようのない事実だった。


(またまた、つづく)
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